| EMG総合法律事務所: マンション管理Q&A 滞納管理費等の請求
22 区分所有法59条に基づく競売請求について
 
  Q 管理組合として、滞納管理費等を回収するため、支払督促を申立てました。その後、仮執行宣言付支払督促が確定しましたが、相手方(債務者)は、一向に管理費を支払いません。そこで、債務者が所有する当該マンションの強制競売を申し立てようと思いましたが、その不動産には抵当権がたくさん登記されており、いわゆる無剰余であることは明らかです。他に債務者の財産はありません。管理組合としては、区分所有法59条に基づく競売手続きを実施したいのですが、実際、この手続きにはどの位の期間がかかるのでしょうか。手続きの流れについて教えて下さい。
 
  A 管理組合さんにとっては、区分所有法59条の競売請求というのは馴染みが薄いようで、なかなかイメージしづらいようです。そこで、実際の事件をベースにした参考事例を見ていただきたいと思います。
 この参考事例の場合には、「59条に基づく競売請求(訴訟提起)」から、競売手続きを経て、実際に滞納管理費を回収するまで、約16ヶ月かかっています。
 
 
              
                
                  | (事例の前提) |  |  
                  | 平成17年 | 管理組合は支払督促手続きを実施 |  
                  | 平成18年 | 相手方は滞納管理費等を支払わず。管理組合として何度も催促しているが、相手方は一向に支払わない 管理組合は、「区分所有法59条に基づく区分所有権の競売請求」を実施するため、総会を開催し、相手方に弁明の機会を与えた上でこれを決議(区分所有法59条参照)
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                  | 平成18年末 | 弁護士に、59条競売請求訴訟を依頼 |  
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                  | 平成19年1月初旬 | 59条競売請求事件の訴訟提起 |  
                  | 平成19年2月中旬 | 第1回口頭弁論 |  
                  | 平成19年3月下旬 | 判決言渡し |  
                  | 平成19年5月ころ | 管理組合と相手方との最後交渉 |  
                  | 平成19年6月初旬 | 不動産競売申立 当方(管理組合)から裁判所に対し、予納金80万円を振込み
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                  | 平成19年6月中旬 | 競売開始決定 |  
                  | 平成19年9月下旬 | 売却実施決定 (内容)
 入札期間 平成19年12月初旬から1週間
 開札期日 平成19年12月中旬
 売却決定期日 平成19年12月下旬
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                  | 平成19年12月中旬 | 開札実施 |  
                  | 平成20年2月中旬 | 売却代金納付日 |  
                  | 平成20年3月初旬 | 当方(管理組合側)から裁判所へ手続費用請求書を提出 |  
                  | 平成20年3月中旬 | 配当期日 |  
                  | 平成20年3月中旬 | 手続費用約62万円が、裁判所から当方(管理組合側)に振り込まれる |  
                  | 平成20年3月中旬 | 予納金の残り約22万円が、裁判所から当方(管理組合側)に振り込まれる |  
                  | 平成20年4月下旬 | 競売によって買受けた人(新所有者)から、管理組合に対し、滞納管理費が支払われて、滞納管理費回収(区分所有法8条参照)。 |  
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