EMG総合法律事務所: マンション管理Q&A

総会(集会)の運営について


5 所在不明の区分所有者に対する総会招集通知について


  管理組合の組合員の中に、住所、勤務先、その他連絡先等が全く分からない人がいます。その人(当該組合員)から管理組合(管理者)に対しての届け出(総会招集通知を受けるべき場所等の届け出)も、これまで1回もありません。
 このような場合、その人(当該組合員)に対する総会(集会)の招集通知はどうすればいいのでしょうか。


  原則として、当該組合員の所有する部屋(専有部分が所在する場所)にあてて通知すれば足ります。もし規約に特別の定めがあれば、建物内の見やすい場所に掲示して代えることもできます。

まず、区分所有法35条は、「集会の招集の通知」について次のように定めています。

(招集の通知)

第三十五条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。

2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。

3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。

4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。

5 第一項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第十七条第一項、第三十一条第一項、第六十一条第五項、第六十二条第一項、第六十八条第一項又は第六十九条第七項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。


法律上、「集会の招集の通知」は「区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に」、区分所有者が「これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあてて」通知すれば足ります(区分所有法35条3項)。

ご質問のケースは後者(区分所有者からの通知なし)にあたりますので、当該組合員の所有する部屋(専有部分が所在する場所)にあてて通知すれば足りることになります。

もし、該当マンションの管理規約において「特別の定め」、すなわち「建物内に住所を有する区分所有者又は集会招集通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する集会招集通知は、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる」旨の定めがあれば、この方法で通知することもできます(区分所有法35条4項)。

たとえば、標準管理規約(単棟型)43条3項は、区分所有法35条4項の「特別の定め」に当たります。

参考までに、標準管理規約(単棟型)43条1項乃至3項を見ておきましょう。

(招集手続)

第43条 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。

2 前項の通知は、管理組合に対し組合員が届出をしたあて先に発するものとする。ただし、その届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとする。

3 第1項の通知は、対象物件内に居住する組合員及び前項の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる。


該当マンションの管理規約にも、このような「特別の定め」があるか確認してみてください。

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