EMG総合法律事務所: マンション管理Q&A

総会(集会)の運営について


8 総会(集会)議事録の虚偽記載に関する罰則手続


  私は管理組合の理事長です。先般、管理組合定期総会(集会)を開催し、議長として総会議事録を作成しました。すると、総会に出席していた区分所有者が「議事録に虚偽の記載がある」とクレームを付けてきて、さらに管轄の地方裁判所に対して、私の行為が「区分所有法71条3号に該当する」と通知しました。そのため、裁判所から私に対して「求意見書」という文書が届きました。これは一体何なのでしょうか?私は虚偽の記載などしていません。どうすればよいのでしょうか?


  まず、区分所有法71条を確認しましょう。総会の議長は、総会の議事録を作成しなければならず、仮に議事録に虚偽の記載をしたときは20万円以下の過料に処せられることになっています。

ちなみに、過料とは、刑罰ではありません。過料の制裁を科する手続きは、刑事訴訟法の適用はなく、非訟事件手続法の規定が適用されます。

今回、通知人である区分所有者は、あなたの住所地の地方裁判所に対して通知をし、それを端緒として地方裁判所の手続きが開始されているようです。この手続きで、あなたは「被審人」と呼ばれます。

あなたに届いた「求意見書」なるものは、非訟事件手続法162条2項に基づき、あなたの意見を聴くための連絡です。おそらく一定の期日までに書面を提出することが求められているでしょうから、必ずそれに従っておきましょう。

その後、あなたの意見・陳述や検察官の意見に基づいて、裁判所が過料に処するか否かを決定します。ちなみに、あなたの主張が容れられれば、次のような決定主文になります。

主文
1 本件につき被審人を処罰しない。
2 本件手続費用は国庫の負担とする。


参照条文

建物の区分所有等に関する法律71条

第71条
 次の各号のいずれかに該当する場合には、その行為をした管理者、理事、規約を保管する者、議長又は清算人は、20万円以下の過料に処する。

一  第33条第1項本文(第42条第5項及び第45条第4項(これらの規定を第66条において準用する場合を含む。)並びに第66条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)又は第47条第12項(第66条において準用する場合を含む。)において読み替えて適用される第33条第1項本文の規定に違反して、規約、議事録又は第45条第4項(第66条において準用する場合を含む。)の書面若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。

二  第33条第2項(第42条第5項及び第45条第4項(これらの規定を第66条において準用する場合を含む。)並びに第66条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類又は電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧を拒んだとき。

三  第42条第1項から第4項まで(これらの規定を第66条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、又は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。

四号以下省略



非訟事件手続法162条

(過料についての裁判等)
第162条 過料についての裁判は、理由を付した決定でしなければならない。

2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。

3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官は、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する裁判費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。

5 過料の裁判に対して当事者から第3項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する裁判費用は、国庫の負担とする。

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